神奈川県内の路線価、4・4%プラス 観光にわく鎌倉駅前は19%アップ 住宅需要も追い風

神奈川県内の最高路線価で首位となった「横浜駅西口バスターミナル前通り」=横浜市西区
国税庁が1日に公表した令和7年分の路線価(1月1日時点)によると、神奈川県内18税務署管内にある標準宅地の評価基準額の対前年変動率は4・4%のプラスとなった。前年より0・8ポイント大きく、4年連続の上昇。通勤の利便性が向上した私鉄沿線を中心に、住宅需要が強まっている。 最高路線価は3年連続、全18税務署で上昇した。変動率が前年より大きかったのは11署。3年連続で2けたアップとなった厚木など6署では10%超の伸びを記録した。訪日外国人など観光客の増加も、商業地の引き合いを強めている。 それが顕著に表れたのが、変動率が20%に迫った「鎌倉駅東口駅前通り」。前年(14・3%)と比べ4・7ポイントの上昇だ。不動産鑑定士の松原壮太郎氏は「新型コロナ禍後に回復した旺盛な観光需要を追い風に、特に路面店の賃料上昇が続いている」と解説する。 「相模大野駅北口駅前広場通り」は、前年の変動率と比べ9・7ポイントの大幅アップとなった。もともと通勤の利便性が高い人気エリアだが、令和元年に閉店した伊勢丹跡地の再開発が進み、活発なマンション建設で人流が増加している。 一方、神奈川署管内の「市道高島台107号線(鶴屋橋北側)」の変動率は2年連続で10%超だったが、今年は5・2ポイント下がり8・9%アップにとどまった。「横浜駅直結の複合施設『ザ ヨコハマ フロント』への期待感から周辺の土地取引が活発だったが、昨年完成したことで、価格も落ち着いてきた」(松原氏)。 最高路線価の県内首位は6年連続で「横浜駅西口バスターミナル前通り」。ピークだった平成4年(1804万円)比で95・3%の水準まで回復した。全国の都道府県庁所在地の最高路線価としては、東京・銀座と大阪・梅田に続き6年連続で3位だった。 路線価は主要道路に面した1平方メートル当たりの地価。相続や贈与などの際に税額算定基準となる。国税庁ホームページで閲覧できる。(山沢義徳)